カルチャー

CULTURE

音楽

2021.08.05

Downhill From Everywhere

ジャクソン・ブラウンがニュー・アルバム『Downhill From Everywhere』をリリースした。人種差別や気候変動など現代のさまざまな問題を採り上げたポリティカルな側面を持つ作品ではあるが、ジャクソンならではの温かなメロディーやしなやかなバンド・サウンドは、聴き手を優しく包み込むかのように力強い。環境汚染問題を暗示させる、すべての汚染は、知らず知らずのうちに、海に流れ込み、母なる大地、地球への環境破壊につながって行く、一方、本作『Downhill From Everywhere』のジャケットには、カナダの写真家エドワード・バーティンスキーの「Shipbreaking」という、船を解体する写真からなる連作の中の一枚があしらわれている。89年に起きたエクソン・バルディーズ号の原油流出事故のあと、船体が一重構造の原油タンカーは安全面の懸念から解体されることになったが、その作業のほとんどは、多くのタンカーを所有する英米国内ではなく、インドとバングラデシュで行われているという。誰かの身勝手な行動によって生まれたツケは、ずっとあとになって、遠い国の誰かが払わされることになるのだ。環境問題や人種差別問題など、彼の音楽を通じての強いメッセ―ジは、音楽を通じて、世界へ広がって行きます。 

NPO NAZe Hiroshi Nambu