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砂浜

2021.02.26

七里ガ浜の砂浜について52年前と今の差を実測してみた

こんにちは、NAZeの森園です。

以前は砂鉄が採れることでも有名であった稲村ヶ崎の砂浜や、そこから続く七里ガ浜にかけての砂浜は年々狭くなり、稲村ヶ崎はもう岩場に近い状態になっています。

地元の人はもちろん、昔からこの地を知る人も、以前とは明らかに違う風景となってしまった現状に驚いていますが、昔と今の差を実際に定量化できるものは何かないだろうか?

そう考えてNAZe理事長出川所蔵の52年前の七里ガ浜の写真を確認したところ、昔と今の差を比較できそうな基準点を見つけることが出来ましたので、実測してみることにしました。

写真で見つけた七里ガ浜駐車場下の土管

左:1968年9月の大潮の日に行われた全日本サーフィン大会
右:2020年9月の大潮の日に同じアングルを狙った写真

1968年当時は砂浜から撮影されたはずですが、2020年現在はハウジングに入れたカメラで腹まで水に浸かりながら撮影することになりました。

その浸かり具合に、改めて体感で昔との違いに驚きましたが、撮影後に写真の中から実測比較出来るものは無いか探したところ、子供の頃に遊び場の1つにしていた土管を見つけました。

私が子供の頃(30年くらい前)は、砂浜から続く石台の上に設置された土管の中に入り、誰が最も奥まで進むことが出来るかチキンレースのような遊びをしていました。(子供の体でもギリギリサイズの穴で、挟まって出られなくなりそうな不安と暗さで結構ドキドキ^^;)

それがどうでしょう。
今ではその土管に辿り着くためには、壁をよじ登る必要があります。

1968年9月時点の写真では、石台の上にも砂が被り、土管の下端あたりが砂面になっているように見えます。この土管の下端を52年前の砂浜0地点として、今との差を実測してみました。

1.8m以上砂浜が下がっている

実測した結果は-187cm。

下が砂地なので計測日によりる差は多分にありますし、1968年9月の0地点設定も簡易なものですが、およそ1.8m程は砂浜が下がっていることが確認できたかと思います。

現在この石台は大人でもよじ登るのが難しい高さになっていますが、私が子供の頃は、子供でも砂浜から石台に腰を下ろすことが出来る程度の高さでした。

これだけ砂浜が削られてしまっているのですから、駐車場の壁まで波が来てしまうのも改めて納得ですね。

実測中も改めて納得させられましたが。。

実測足元

なぜ砂浜は失われるのか?

IPCC第5次評価報告書によると、地球温暖化に伴う氷河や氷床の融解と、水温上昇に伴う海水膨張などにより、海面水位は今世紀中に26cm〜82cm(温暖化を抑えた場合とそうでない場合で結構幅あり)上昇する予測となっています。

IPCC第5次評価報告書の概要 -第1作業部会(自然科学的根拠)

しかし、稲村ヶ崎から七里ガ浜にかけての砂浜が失われた早さは、この比ではありません。先日、石川・能登半島の千里浜海岸で砂浜が狭くなったニュースなども見かけましたが、日本全国で近年急速に砂浜が狭くなっているのではないでしょうか?

砂浜が削られた原因として、報道では台風の直撃被害などが大きく取り上げられることが多く、砂浜を守る対策としても、直接的な構造物による砂の流出を防ぐ方法や、人工的に砂を運び込む養浜などが先行して検討されることが多いような気がします。

護岸工事により山や川から砂が供給されない状態が長く続いて来た背景や、昔と今では潮の流れも変わった可能性(だとしたらなぜ?)など、他の要因も絡み合いながら砂浜が失われたはずなのですが、原因を特定した上で対策に向けて動くような時間猶予はもうありません。

しかし、それでも。
なぜ砂浜が失われ続けるのか?
NAZeメンバーが集まったのは、この率直な“なぜ?”がきっかけでした。

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